『フレンチ・カンカン』ジャン・ルノワール
昨日のニュースでかなりどんよりした気分になっている管理人でございます。
[メンバーの方に私信:MAILER-DAEMONで手続き完了のメールが送れない方がいらっしゃいます。手続きは済んでおりますので、完了メールは数日待ってみてまた送らせていただきますので、もう少々お待ちください]

んで、おとといは「なぜ更新しないか」というのを書こうと思っていたのですが、このニュースを見て急に気が変わりまして

ウディ・アレン、「年をとれば賢くなるなんてウソ」=米誌 [ 11月01日 20時47分 ]
12月1日に70歳を迎える同氏は、「年をとると喜びを感じるようになるとかある種の知恵がそなわるとか言うが、それは全くのでたらめだ」と述べ、「私は何の知恵も、見識も、円熟も得なかった。今でも全く同じ間違いを繰り返すだろう」と語っている。


はは。

まあそうなんすけど、ウディ・アレンらしいというかなんというか。

この人はいつも自分の存在に自信がもてなくて、自分というものがなんだかよくわからなくて、ここにいてこれをやっていていいのか常に常に不安、という自分自身を、自虐的かつ露悪的に描いてきた、まさにアメリカ東海岸知識人を象徴するような方で。

この人の映画は、好きというより先に、今の状態はどうなんだろうか、と常に心配しながら見てしまって、穏やかだと、ああ、今の精神状態は安定してるんだな、とこちらもほっとしたり。ぎざぎざしてるとこちらも家族のように心配になったり。そういう「揺れ」が気になる作家さんです。

『マンハッタン』とかが代表作としてよくあげられますけど、あれは精神状態が珍しく安定した作品で、他の作品はもっとがじがじしてますね。『マンハッタン』は、ガーシュインの音楽と、モノクロ画像が美しい、詩のような映像で、お気に入りのひとつですけど、あのイメージで他の作品を見るとちょっと戸惑うかもしれない。



で、ウディ・アレンの、ある意味対極にあるのがジャン・ルノワールのフレンチ・カンカンかも、と。

ジャン・ルノワールという人は、もちろん画家のルノワールの息子で、フランス映画界の大御所で、「大いなる幻影」とか、モノクロ時代の方が有名ですが、これはカラーになってからの映画。

例のムーランルージュをモデルとした映画なんですけど、前半部はそういうことをあまり感じさせない、どちらかというと素朴な描写で、フランス下町ショウビズ界の人間模様、恋のさや当て、ちょっとほのぼのした「寅さん」的な世界が展開します。

今の映像表現になれていると、はっきり言って前半部は退屈です。
まあ、映画の歴史のお勉強かな、と「ジャン・ルノワールの歴史」を学ぶ、くらいの映画かな、と思って流していたら、どうしてどうして、最後の数十分はすごい。

かの有名なフレンチカンカンをここで披露するわけですけども、これが色の洪水。

赤、黄、青、白、紫。原色の乱舞。

ダンサーの衣装の色の鮮やかさ。踊りのダイナミックさ。

踊りのうまさもそうなのですが(主演のフランソワーズ・アルヌールは本職のダンサーだったそうで。上手いはずだ)、これを見ていると、「世界はなんて美しい色にあふれているんだろう!」と、ただただその美しさに圧倒されます。

複雑なストーリーはなく、シンプルで鮮やかで美しい世界。でもそれだけで大感動できます。


ウディ・アレンの複雑な心理世界もまたよいのですが、ジャン・ルノワールの、色だけ、映像だけで世界をシンプルに映し出すのもまたよろしい。

世界がぐじゃぐじゃになって、訳がわからなくなったときに見ると、「世界って、こんなにシンプルで美しいものだったんだ・・!」と、元気になれます。

お父さんのルノワールは、画家には珍しくとても温厚で、バランスが取れた性格だったらしいですが、彼もまたその安定と完熟した色彩感覚のすばらしさを十分受け継いでいたようです。モノクロの方が評価が高いようですが、この人のカラー映画のすばらしさもまた必見です。


「おれはだめだだめだ、だめなんだー」と幾つになっても公言してはばからないウディ・アレンと、そういうものは微塵も見せないルノワールの「フレンチカンカン」。でも、そういうウディ・アレンが華々しく商業的成功を収め、ルノワールは晩年商業的にはまったく恵まれず不遇であったという現実世界での対比もまた面白いところであります。




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by summer21st | 2005-11-02 12:36
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